2009.01.27 Tuesday
007 Casino Royale カジノ・ロワイヤル
Radio-Net Communication "ラジコミ" 77.7MHz FMやまと 毎週火曜日 夜7時〜1時間生放送 BINGOのギリギリSTRIKE!!! + 007 Casino Royale カジノ・ロワイヤル + 007最新作「慰めの報酬 (Quantum of Solace)」が 今月24日から公開されている。 テレビでも過去のシリーズ作品をしきりに放映していたりして 気分を盛り上げてくれている。 ストーリーは前作「カジノ・ロワイヤル」(2006年)の続編で、 エンディングの一時間後からドラマは始まる。 で・・・今日は今更ながら・・・ その「カジノ・ロワイヤル」の方の話をしちゃいましょ・・・。 「前作公開時にやれよ・・・っ!」って言われそうだけれど、 まあまあ、いいじゃないですか。。。 「カジノ・ロワイヤル」は1953年に出版された、 イアン・フレミングの記念すべきジェームズ・ボンド小説の第一作目。 原作者のイアン・フレミングは、007シリーズが映画化されるのにあたって、 最初のボンド役に最も望んだのがデヴィッド・ニーヴンという俳優。 彼をイメージしてジェームズ・ボンドを創作したとも言われるほどで ボンドの少年〜青年時代の設定が 彼の生い立ちと似通っているのもそのためという。 最初のジェームズ・ボンドではデヴィッド・ニーヴンは辞退したものの イアン・フレミングにしてみればシリーズ1作目の映画化から5年目にして やっと念願が叶ったデヴィッド・ニーヴン主役の 「カジノ・ロワイヤル」の映画化が1967年。 「カジノ・ロワイヤル」が2006年に映画化されたのは2度目の ちょっとややこしい身の上の映画。(映像化は3度目 *注) お母さんが一緒でお父さんが違う、年の離れた異父兄弟のようなもの。 出来の悪いおバカな兄ちゃん映画は、 出来の良い弟クン映画とすぐに比べられちゃう。 って、ところがまたそのおバカ兄ちゃんのほうを応援したくなっちゃう。 というのが、今日の本題。(ここまで長かったね・・・) 007ファンからはソッポを向かれるハメになった と言うよりも毛嫌いされているかもしれないほどの 1967年版「カジノ・ロワイヤル」はなぜ否定されるのかというと たぶん、おそらく、007をパロディにしているから・・・だと思う。 ショーン・コネリーのボンドのことも痛烈に批判しているし。 当時、既に007映画を4本製作していたイオン・プロダクションズは 利権関係にいろいろあって映画化することが出来ずにいた。 使用権を持っていたチャールズ・フェルドマン(Charles K. Feldman)は イオン・プロダクションズと共同で制作して 正式な007映画にしたかったけれども、イオン側はそれを拒否。 かたや本家007のイオン側はイギリス映画にしては予算があって、 ショーン・コネリー主演で派手なアクションシーンありノリに乗ってた時期。 5作目の「007は二度死ぬ」の公開もすぐあとに予定されているし。 そんなところで、まともなことをやっても勝ち目がないことは一目瞭然。 そこでパロディ・コメディ仕立てにしてしまったワケ。 パロディといっても、本家007側よりも予算は掛けている。 ま、主に出演料に消えていったと思うけれど。 だって、キャストも超豪華だもの。主演、007にデヴィッド・ニーヴン。 続いてピーター・セラーズ、オーソン・ウェルズ、ウッディ・アレン・・・。 <制作費> 1962年 007 ドクター・ノオ (Dr. No) $90〜110万 1963年 007 ロシアより愛をこめて (From Russia with Love) $200万 1964年 007 ゴールドフィンガー (Goldfinger) $300 1965年 007 サンダーボール作戦 (Thunderball) $900 1967年 カジノ・ロワイヤル (Casino Royale) $1200万 1967年 007は二度死ぬ (You Only Live Twice) $950万 1969年 女王陛下の007 (On Her Majesty's Secret Service) $700万 1971年 007 ダイヤモンドは永遠に (Diamonds Are Forever) $720万 1973年 007 死ぬのは奴らだ (Live and Let Die) $700万 1974年 007 黄金銃を持つ男 (The Man with the Golden Gun) $700 で夢のキャストのはずの「カジノ・ロワイヤル」は、 おふざけドタバタ喜劇のおバカ映画。 それもそのはずで、監督は5人も(それ以上ともいわれる)いて、 まともな脚本も無く、同時に3個所のスタジオで撮影したりと 制作過程は混乱、ストーリーは破綻していく。 007は影武者として何人も出てくるし、最後は訳がわからない ほとんどパイ投げ合戦状態の夢落ちに近いエンディング。 もう心の目で観る映画になってしまっている。 当時のスパイ映画人気のお陰で収益は一応あったものの、 変な映画の仲間入りしたことには間違いない。 とは言っても、1960年代のポップカルチャーの色が濃く、 オースティン・パワーズにもその影響が見られる。 サウンドトラックはバート・バカラックが担当で 素晴らしい楽曲を提供している。 本家007シリーズのどれよりもサウンドトラックは上かも。 のちに、企業買収の末、2006年にははれてシリアス路線の 「カジノ・ロワイヤル」は生まれ変わる。 個人的にはチョット寂しい気も・・・。 本家イオン007ファンは観ないほうが良いと思う。 おバカ映画が好きならお勧め。 ま、それにしても長い映画。もっと短く出来るとは思うけど。 (途中の中だるみで観ながら眠ってしまうこと多々あり…) [曲] Herb Alpert & The Tijuana Brass "Casino Royale" Casino Royale: An Original Soundtrack Recording (Burt Bacharach) カジノ・ロワイヤルのサウンドトラックから。 ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラス演奏の メインタイトル曲のカジノ・ロワイヤル。 フジレテビ系列の「なるほど!ザ・ワールド」の跡継ぎ番組として 1996年から始まった「メトロポリタン・ジャーニー」のテーマ曲としても懐かしい。 アメリカンTop 40にもチャートインするヒット曲。 Casino Royale - Trailer (1967) *注 最初に映像化されたのは、アメリカCBSテレビで1954年から始まった ミステリードラマシリーズの中。もう一人お兄さんがいたワケだね。 この「クライマックス(Climax!)」という一話完結1時間ものの 1エピソード(シーズン1・エピソード3)として放送されたことがある。 そのときのジェームズ・ボンドは、やっぱりそこはアメリカ、 アメリカ人CIAの設定。 |